ホテルや牧場、アミューズメント施設などが並び、霧島山麓でも人気の観光スポットに2008年9月にオープンした『la soeur』( らすーる)。
ここは毎日、新鮮な生地で手作りされるこだわりのパンが人気のベーカリーショップだ。
営んでいるのは、まだ30代と若い横溝香さん・史子さん姉妹。
生まれ育った奈良県から離れ、はるばるこの地へやって来た。
パン作りをメインで行っているのは妹の史子さん。
もともとお菓子作りが好きだったそうだが、そちらの道では無く「なぜか不得手なパン作りに入れ込んでしまったんです」と頬を緩める。
働きながら学校へ通い、その後勤めていた会社を辞めて3年ほど前から本格的にパン作りの修行を始め、この店で念願の独立を果たす。
姉の香さんは史子さんの頑張りを近くで見ていて、「店を出すなら一緒に手伝おうと思って。
私も10カ月ほどですがパン屋で見習いをしながら働いたんですよ」。
かくして、いよいよ店舗を、ということになったのだが問題はどこに出すか。
「関西方面でもよかったんですが、霧島も良いなぁと思っていて」。
実は、横溝さん姉妹のご両親は10年ほど前から霧島に移住していたのだ。
これまでに霧島を何度も訪れ、鹿児島の良さや住み心地もある程度体感していた二人。じっくりとリサーチして決めたのかと思えば、「ほとんど勢いでやってきたような感じです」と笑う香さん。
史子さんは「姉に背中を押されました」と、なんとも姉妹らしいやり取り。
ご両親も移住をきっかけにお好み焼き屋を開いており、当初はその駐車場に店舗を構える予定だった。しかしタイミング良く、隣接していた住宅が売りに出され、そこを改築して店舗兼住居に。1階は厨房とショップ。
店内には、無添加の生地で作ったバラエティ豊かなパンが40種類ほど並んでいる。
「ここでは霧島山麓の湧水が使えるんですが、初めはその水のクセが分からなくて失敗ばっかりでした」と予想外の苦労も経験。
移住の先輩であり、商売の先輩でもあるご両親が傍にいるおかげで、二人とも不安は無かったそう。
もちろんご両親は大喜びで、奈良で暮らしていたときとはまた違う家族での時間を楽しんでいるとか。
これまで街の中で暮らしていた香さんと史子さん。
移住して感じたのは、空気の美味しさと朝日・夕日の美しさだと言う。
今はまだ目の前の仕事に精一杯で、心身ともにゆとりが持てない日々とのことだが、霧島の自然風景とお客様の「おいしかったよ」の言葉で気持ちがリセットされたり、元気をもらったり。
「ゆくゆくは天然酵母でパン作りをしたいですね。
それも地元の酵母を使えたらベスト。
パンにも霧島らしさを出していきたい」と意欲的。
一方で、「せっかく鹿児島にいるんだから県内の温泉巡りも叶えたいし、趣味のパラグライダーも再開させたいし...」。二人の想いはまだまだ尽きないようだ。
la soeur(らすーる)
住所/霧島市霧島田口2638-503
TEL/ 0995-57-2551
営行時間/ 10:00~売切まで(土日祝は9:00~)
店休日/毎週火・水曜不定